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【授業レポート】《篠笛奏者・森田玲》編/今さら聞けない、伝統芸能「基本のキ」。

最終更新: 3月5日

2020年2月1日開催「今さら聞けない、伝統芸能「基本のキ」。《篠笛奏者・森田玲》編」の授業レポートです。


京都カラスマ大学とは縁も深い、京都の学びの場、有斐斎弘道館。その再興10周年を迎えるにあたって、ここに江戸時代に学問所を開いていた皆川淇園を主人公にした新作劇「新〈淇〉劇」が上演されます。能楽を中心に、さまざまな古典芸能の演者が参加するこの公演の出演者が講師を務める連続講座が実現しました。

夕暮れ時、どこからともなく聞こえる笛の音。粋な演出で現れた講師は、篠笛奏者の森田玲さん。京都大学農学部森林科学科を卒業し、篠笛「玲月流」初代、そして(株)篠笛文化研究社代表。秘密結社「ドレミがなくても日本は幸せ」発起人として、篠笛の演奏・指導・製作・販売・調査研究を行なっています。この講座では、篠笛って何?という初歩から、笛のユニークさと魅力とを伝えていただきました。

篠笛の魅力〜祭で育まれた清らかな音色〜

篠笛(しのぶえ)がなんなのか? これを限られた時間で話すのは難しいのですが、要点だけでも、何か、覚えていっていただければ。まず、篠笛って、そんなに構えて聞くようなものじゃなくて、お祭りでピーヒャラ♪ と吹くものです。皆さん、笛って聞くと、なにを思われますか? うん、小学校で持たされたリコーダーね。そう答える方は、みんな洗脳されていますよ(笑)。あれは昭和30年代に、日本は西洋的に言うと音痴だというので、音痴を “矯正” する装置として教育に取り入れられたものなんです。


日本の楽器は、大きく分けると、フエ(息で音を鳴らす楽器)とツヅミ(太鼓の類)とコト(絃を鳴らす楽器)、それとカネ(金属)、この4つに分類されるんです。


日本の楽器を考える時に、その中のどこのグループに入るのかを考えるとわかりやすい。ここにリコーダーを入れたらダメですよ。日本人にとっては、リコーダーはまったく必要ない‥‥これ以上言ったら、リコーダー屋さんに怒られるけど(笑)。篠笛は、日本にいくつかある横笛の中の一つです。実は、篠笛って規格がないんです。長さ何㎝で、指穴がこのように空いていて、とか厳密に決まっていないし、あるいは地域によって、篠笛に求められるものが違うのです。ということは、篠笛っていう言葉は、ひとつの楽器を指し示すのではなくて、日本の横笛の中で、能の笛と雅楽の笛をはずして、残った横笛の総称みたいなものだと、僕はとらえています。


お能でもどんな笛でも、息を出しながら指を打ってゆく。そうして音を変えてゆく。指で穴を「打った」時、離した時に、音の高さでとらえられないような、鼓膜に響く♪ぴゃんぴゃん♪という指うち音がでます。これを出して行こうとするのが篠笛の特徴ですね。音の部分だけ拾うと、フルートなのかピッコロなのか区別がつかないかもしれません。だから、指打ちって大事なんですね。


我々が今、篠笛を聴ける場所としては、祭と歌舞伎があります。祭で太鼓とともに育まれてきたという特徴もある。篠笛は、規格がないだけに、人の声、三味線の音に合わせて、持ち替えたらいいんじゃないかという発想なんです。ですから、歌舞伎の篠笛の人は30本くらい持ってる人もいる。自分は一つの笛を育てて生きたいので、あまり数を持たないようにしていますが。


吹く時には、口で唇はうごかさない。喉の中の動きが大切です。篠笛は、楽器が鳴らす分と身体が鳴らす分と半々。例えば電子楽器のシンセサイザーは人間ゼロで、誰が押しても同じ鍵盤からは同じ音が出ますが、篠笛は、からだの中での響かせ方が重要になる。楽器と人が、両方がんばらないといけない。


三味線音楽の篠笛と、祭りの篠笛には違いがあって、それは吹いている人の気持ちの持っていき方です。たとえば三味線音楽だと、歌が必要です。歌詞が良くて「いいな」と思う人も多い。それに三味線が入ってきて、鉦が入ってきたりして、歌詞の内容がよくて聴いたりする。それぞれの奏者はハーモニーを求めていて、最終的に調和がとれたものを楽しんでいます。


これが、祭の場合、ちょっと違う。最終的には調和はとれているんですが、演者は基本的に、演奏相手のことは考えていない。太鼓も笛もそれぞれがマックスで押し出しをしていったうえで、最終的な調和が生まれる。祭りでの音楽にはそういう傾向がある。だから、三味線音楽の篠笛をやっている人と、祭の篠笛をやっている人とでは、全然音の雰囲気が違うんです。

受講生に篠笛が手渡され、実演を通して篠笛の音色に触れられるひと時もあり、「身体が鳴らす笛」の面白さを少しだけ体感しました。


2月24日に上演される「新〈淇〉劇」では、能の笛・能管と篠笛の重なりが、物語の大きなテーマとなるそう。聞けば懐かしい気持ちになる日本の笛=篠笛の奥深い魅力と出会って、日本文化の懐に入っていきたいと思えるお話のひと時でした。



レポート:沢田眉香子(有斐斎弘道館再興十周年記念実行委員会)

写真:のぶりん、かなっぺ(カラスマ大学皐月会メンバー)

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