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  • 執筆者の写真京都カラスマ大学

【授業レポート】画材循環プロジェクト《巡り堂》の取り組みを知る


※2023年8月28日(月)開催「画材循環プロジェクト《巡り堂》の取り組みを知る」の授業レポートです。

 

画材循環プロジェクト《巡り堂》。




世の中に流通している無数の画材が、まだ使用できるにも関わらず、保管されるがままになっている、または棄てられてしまう、、、それではもったいない!


亀岡の「みずのき美術館」が、国内で家財回収事業を行っている「一般社団法人ALL JAPAN TRADIN G」から相談を受け、誕生したプロジェクトです。




今回の授業では、この《巡り堂》の画材循環プロジェクトを見学するだけでなく、実際に私たちもその活動を体験することができました。

教室となった場所は3か所。

まず、亀岡の北町商店街にある「みずのき美術館」。

次に、美術館向かいの商店の2階にある《巡り堂》の作業場所。

そして、亀岡市役所内にある食堂も兼ねたフリーワークスペース「開かれたアトリエ」。


真夏の1日、3つの教室を転々とする移動教室でした。




集合場所のみずのき美術館は、アール・ブリュットへの考察に重きを置いている美術館です。「障がい者支援施設 みずのき」を母体とする絵画教室で生まれた作品たちを、所蔵・展示するために設立されました。かつては商店街の床屋さんだったお店を改築した館内はこぢんまりとして、こころの落ち着きを感じられる空間です。入り口には床屋さんだった当時の様子を窺える、可愛らしいサインポールが佇んでいます。

最初の教室は美術館のすぐそばにある《巡り堂》の作業場所。


先生の藤原沙羅さんから《巡り堂》についての説明をお聞きしました。

藤原さんは、みずのき美術館・巡り堂のスタッフです。



ここには、一般社団法人ALL JAPAN TRADIN Gを介して、様々なところから画材が届けられます。折れている鉛筆、ちびたクレヨン、蓋のところがかたまってしまった絵の具、油が出てしまった絵の具など。またはお祝いにいただいて大切に取っておいたのでしょうか、開封したけど未使用に近いものもたくさん。


なかには、亀岡市役所からの依頼を受けて藤原さんたちが直接市民のお宅に伺い回収したという、年代物で貴重な海外の画材、イーゼルや額などもありました。


このように、ひとくちに画材といっても、とにかく「種類も状態もさまざま」であることが再利用を困難にしているのです。




こうして《巡り堂》のもとにやって来た、たくさんの画材たちを種類や使用状態ごとに分類し、クリーニングを施して、新たに画材を必要としている人のところへ送り届ける。これが《巡り堂》の取り組みです。


藤原さんたちは、資材循環はもちろん、《巡り堂》に関わるすべての人が、この取り組みで「つくること」を支え、育てていくことを目標としています。




と、《巡り堂》のはじまりやその活動について深く知れたところで。


お次はスマ大恒例の自己紹介タイム。


短い間とはいえ、一緒に授業を受ける仲間です。

ハジメマシテの生徒同士、お互いを知ることも大切ですよね。





今回は名前・出身地・授業に参加した(巡り堂へ興味を持った)きっかけのほか、授業のテーマに沿って「好きな文房具」の発表も。我らが学長・マキさんからの提案でした。さすが!


「好きな文房具」は、まさに十人十色。仕事で使う文房具から、日々の必需品、幼少期大事にしていたものなどなど、みなさんそれぞれ、思い入れがある品々を挙げていました。





授業を受けてみようと思い立ったきっかけも大事ですが、それぞれが好きな文房具について語るだけで、その方の人となりが見えてきます。授業のたびにしみじみ、この自己紹介の時間は至極必要なものであるのだな、と思えるのです。

さて、よい具合に生徒のみなさん(と、スタッフ)の緊張も解れたところで、次の教室へ。

亀岡市役所内の「開かれたアトリエ」へ向かいます。




冒頭で述べておりますが、「開かれたアトリエ」は市役所の食堂も兼ねたフリーワークスペースです。「かめおか霧の芸術祭」の活動拠点として、企画展示や多くのイベント開催ができるようにと設けられたのだとか。食堂のほかに図書スペースやキッズスペースもあり、SDGsを意識したまちづくりにベストな場所であると感じました。


この「開かれたアトリエ」内に、《巡り堂》の画材コーナーもあるのです。



ここは画材を回収する場であると同時に、出会いの場でもあります。


「使いたい物は持って帰って良いよ!😄」と書かれた案内板が素敵。

実際にここにある画材を使用して、楽しそうに絵を描いている小さな画伯さんをちらほらと見かけました。家族連れでのちょっとしたお出かけ時間を過ごすのにもよさそうですね。


藤原さんいわく、この《巡り堂》スペースにはハサミやカッターなどの画材は置かないようにしているのだとか。けがのない安心安全な場所づくりが徹底されています。



市職員のみなさんのお昼休みが始まる前に、机を囲んで、いよいよ画材クリーニング体験のはじまりです。


私たちも生徒のみなさんも「これから一体何を体験するのだろう?」というところからのスタートでしたが、藤原さんと一緒に普段から活動をされている《巡り堂》ボランティアのみなさんに指示を仰ぎ、クリーニングを進めていきます。アルコールと布を使い、汚れを丁寧に拭き取るのです。





・色鉛筆やクレヨンなど、セットで箱に入っているものは箱までキレイにすること。

・ペンは必ず試し書きをしてインクが残っているか確認をすること。

・なかなか落ちにくい汚れはアルコールを多めにして拭くこと。

などなど、画材たちをキレイにしていく上での注意点をしっかりと教えていただきました。


黙々と画材をクリーニングする生徒さんたち。どこまでキレイにするべきか悩みどころではあるものの、その答えはなく、それぞれが納得いくまで丁寧に進めていきます。



どれもすごく汚れているというわけではないのですが、次に必要としている人の元へと送り届けるために、またその際に気持ちよく使っていただくために、決して欠かすことのできないプロセスなのだと感じることができました。


一緒に作業に加わる私も、集中力が高まります。夢中でクリーニングをしているうちに、一連の流れがまるで「神聖な儀式」であるかのようにも思えてきました。


穢(けが)れを払い浄化することを「お清(きよ)め」と言います。《巡り堂》が行っているこのプロジェクトでは、画材の辿ってきた思い出はそのままに、けれど年季の入った汚れはさっぱりとさせる、まさに「お清め」をしていたのです。




クリーニングで清められた画材が、これまでに歩んできた誰かの人生を引き継ぎ、出会いと別れを繰り返す。時代も場所も飛び越えて、人々が画材へ込めた思いが巡り巡ってゆく、、、。


《巡り堂》は、画材と人々を繋ぐ架け橋となる場所なのです。

「画材と人の巡りの境地」と表現してくれた生徒さんもいました。


今の世の中には非常に多くのモノが流通しており、不必要なのに余計な買い物をしてしまうこともしばしばあります。使い捨てもあたり前で、すぐに新しいものへの買い替えもしてしまいます。もちろん、壊れるなど使用の限界を迎えた場合の買い替えは仕方のないこと。でも、まだ使える余地があるにも関わらず、「飽きてしまった」「最新作が欲しい」などといった理由で、新しいものに手を伸ばしてしまうことも少なくないのではないでしょうか。



これは非常に残念なことであると、私は感じています。


世界共通語にもなった和のこころ・「MOTTAINAI(もったいない)」。


生活の中でつい忘れがちになってしまうこのこころを、私はこの授業で呼び覚まされました。われわれ人間は多くのモノによって生活を支えられています。たかが一道具であるとは思わずに、しっかりと愛着をもって接するべきなのだな、と改めて気づかされました。



今回の授業を通じて「画材循環プロジェクト」について知り、今後は《巡り堂》のように画材のほかにも様々なモノを巡らせることをしていきたい、京都市内にも活動を広げてみたい、など多くの生徒さんからの共感をいただきました。この試みが、ますます広がりを見せていくきっかけになったのならば、とてもうれしく思います。


レポート:石元楓大

写真:稲田光児


《藤原沙羅先生からのお知らせ》

「次回《巡り堂》は 12月1日(金)〜3日(日)開催「とっておきの芸術祭」への出展を目標に準備してます。出展されてる障がいのある方やその施設の方々に画材を無償提供する予定です。
また、みずのき美術館のコレクションも12月24日(日)まで金・土・日・祝でやっておりますので、こちらもお時間ありましたらぜひお越しください!」

おまけ)

この日の授業の様子を、9月15日(金)付の毎日新聞朝刊に掲載していただきました。記者の東山潤子さん、ありがとうございました!

15日掲載_かんさいナウ
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