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  • 執筆者の写真京都カラスマ大学

【授業レポート】生ごみを捨てない暮らし。コンポストでおいしい野菜。

更新日:2月19日

※2023年12月16日(土)に開催された京都カラスマ大学授業生ごみを捨てない暮らし。コンポストでおいしい野菜。」。ボランティアスタッフによる授業レポートです。


 

サーキュラエコノミー。欧州ではサステナビリティにおけるメイントレンド。


日本でも経済産業省「成長志向の資源自律経済戦略の概要」が発表され、市場のライフサイクル全体で資源の効率的・循環的な利用(再生材活用など)と、ストックの有効活用(製品のシェアリングや二次流通促進など)を最大化する社会経済システムへの移行が謳われています。そして企業レベルでも、廃棄物や汚染を出さずに資源を使い続ける取組への挑戦がスタートしています。


という教科書的な理解はさておき、日々の私たちの暮らしで発生する「生ごみ」。このごみを堆肥として土に変えるコンポストと、コンポストから生まれる消費者と生産者の新しい関係の輪づくりが今回のテーマでした。




今回の参加者は15名。2歳児から、大学生、古希を超えた大人まで年齢層はいつもの通り幅広く、「好奇心という学生証」を持った多様性豊かな面々です。







まず会の冒頭では、カラスマ大学恒例の自己紹介タイム。年齢や所属ではなく「なぜ来たか」「何に興味があるか」がわかる自己紹介です。既にコンポストに取り組んでいる人もいれば、挑戦したことはあるけどうまく続けられなかった人、実際に出来た堆肥をどの様に循環させていくか知りたい人、などなど、話題が尽きない《ごみ場コミュニケーション》が発生。コンポストやゴミ減に対する生徒のみなさんの興味、関心の高さを伺い知ることができました。


今日の授業は3部構成。


第1部では、エコ学区サポートセンター(公益財団法人 京都市環境保全活動推進協会)の山植剛さんから、京都市の環境学習の取り組みの紹介がありました。直近発生する異常気象による鴨川の増水や、気温上昇による野菜の育成不良のスライドを基に、ごみの発生を減らすことは、ごみ回収に関わるエネルギーを減らすものであることが示されました。




第2部では、具体的な取組として、ごみカフェKYOTOプロジェクトのメンバーで、LFC(=Local Food Cycling)アドバイザーの宮本優以さんから、個人として、企業人としてのコンポスト活用の紹介がありました。




まず、宮本さん個人のコンポスト歴は2年半。コンポストとの最初の出会いは、社内でカフェ事業を始めることになったとき、共同経営者のうちのひとりの大学生から


「メニューを考える前にお店で発生するごみの処理を考えよう」


という発言があったことがキッカケだったそうです。若者のアクティブな一言から、さまざまな試行錯誤を経て、LFCコンポストとの出会いに繋がったといいます。そして今、LFCコンポストを使うことで、真夏でも生ゴミ問題に悩まされることなく快適に過ごせるのが大きな変化だそうです。





宮本さんが堆肥をつくる際に用いるのは、洗練されたデザインのバッグ型コンポスト。あらかじめ、バッグの中に植物質のチップを入れて使います。ここに、1日400グラムまでを目安に家庭ででた生ごみを投入します。毎日かき混ぜ、20キロ程度溜まったところで、1ヵ月程度、追加発酵のためのお世話をした後、晴れて堆肥として完成です。ここまで、必要な期間は通常3ヵ月間。野菜屑のみだと6ヵ月程度かかることもあるという話を聞いて、なるほどそうだな、と学校の生物の授業を思い出します。


基本的には、家庭で出る生ごみ全般、投入OKと考えてよいのだそうです。野菜屑から、鶏や魚の骨、内臓類もOK。傷んだもの、腐敗、黴ありもOK。発芽する可能性のある南瓜の種は加熱処理をしたほうがよい。油も、週1回100CC程度までならOKだそうです。


反対に投入NGなものは、微生物が分解できないもの。たとえば貝殻、栗の皮、とうもろこしの皮、醤油など。僕の脳内では「狩りから稲作へ( byレキシ)」が脳内リピートされました。


また投入する生ごみの大きさは、微生物が消化しやすいサイズに少し細かくするのがベターだそうです。


次に企業人としての宮本さんが取り組む、コンポストユーザーと協力企業、各々の事例紹介がありました。コンポストユーザー開拓としては、過去には「大丸京都店」「斗々屋」、京都信用金庫の「Quetstion」などで、堆肥の回収イベントを開催されました。「Question」のイベントでは、堆肥の提供先である京藍の生産者さんによる藍染め体験の機会もあったそうです。時にストイックさが要求されるコンポストユーザーにとって、循環の見える化、愛着を持てる場となることが大切、とのことでした。


また、協力企業の開拓事例として、2つの事例紹介がありました。


ひとつめは「京都信用金庫」西大路支店で、駐車場の一画をさつまいも畑に転換した事例。収穫物をフライドポテトにして振る舞い、お金ではない地域との新たな関係が生まれたそうです。


ふたつめは、以前からLFCコンポストに取り組んでいた清掃会社「アグティ」の事例。その取引先であるデイサービスセンター「くりくま」において、入居中の高齢者が堆肥をお世話するワークショップを開催。できた堆肥を農業法人「しんやさい京都」に提供。収穫物のうち、規格外野菜をくりくまに提供するという、思わぬ繋がりと循環が生まれたそうです。




質疑応答の時間では、「コンポストの導入により気付きが生まれた小学校のお話」が印象的でした。ある小学校ではコンポストのイベント開催後、給食で発生する野菜くずをコンポストで混ぜ、利活用しているそうです。その学校では、野菜を食べ残していた子どもが「あっ、これコンポストに入れたやつだ!」といって、その野菜を食べるようになったそうです。なるほど、理科と家庭科と道徳の3教科の合わせ技だなと思いました。


第3部では、教室を出て、コンポストを活用しながらテラス緑化に取り組まれている「下京いきいき市民活動センター」の現場見学会。







「京都エコシューレ」のみなさんが、2階、3階のテラスで、すいか、ヘチマ、じゃがいも、苺、大根、蕪など多様な野菜、果物づくりの挑戦をされていました。ちょうど収穫時期だということで、急遽、大根の収穫体験も。「初めて自分で大根を収穫した!」という方もいて、《野菜ハンター》になった生徒のみなさんの歓喜の声と笑顔が印象的でした。








会を通じて得た学びは、想像を超えた循環の輪です。


コンポストユーザーが増えることは、環境に配慮できる、循環の担い手が拡大すること。日本国内ではごみの焼却費として、全国で年間2兆円、そのうち生ごみには年間1兆円が投入されているそうです。生ごみを土に栄養を送る堆肥へと還す活動を通じ、新しいエコロジーとエコノミーの学びの場となること、あるいは、生活者が生産者とお金以外の交換をキッカケに、地域への誇りと愛着を持つてる機会となることを感じました。




レポート:白倉幸治

写真:京都カラスマ大学



※本授業は、公益財団法人京都市環境保全活動推進協会との連携事業として、 エコ学区サポートセンター「2050年CO2ゼロどこでもトーク」を活用しました。
▼エコ学区サポートセンターによるレポートはこちらからhttps://www.ecosien.org/karasumadaigaku-gomicafe-231216/

 
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